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1、 平成15年3月20日、米国を始めとする国々は、イラクが国際社会の平和と安全に与えている脅威を取り除くための最後の手段として、イラクに対する武力行使を開始した。その後国際社会は、イラクの復興支援のために積極的に取り組んできている。 2、(イラク人道復興支援特措法の制定) このため、我が国は、イラクがイラク人自身の手により一日も早く再建されるよう、国連安全保障理事会決議により表明された国際社会の意思を踏まえ、主体的かつ積極的にできる限りの支援を行うこととした。 3、(イラクへの自衛隊派遣) 対応措置として行われる自衛隊の部隊等による人道復興支援活動としては、医療、給水、学校等の公共施設の復旧・整備、人道復興関連物資等の輸送活動を行う。また、イラク国内における安全及び安定を回復するために国連加盟国が行う活動を支援するため医療、輸送、補給等の安全確保支援活動を実施する。これらの対応措置に関する基本計画は、平成15年12月に閣議決定され、平成16年2月9日自衛隊の部隊等による人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施について国会承認された。 4、 我が国は、我が国にふさわしい貢献を通じ国際社会の一員としての責務を果たすべく、イラク復興支援特措法に基づき、サマーワへ陸上自衛隊を派遣するなど陸海空の自衛隊を派遣するとともに、ODAを活用した経済協力を車の両輪としてイラク人道復興支援を進めている。 5、(イラク主権回復後の自衛隊の人道復興支援活動) (1) 平成16年6月8日、国際連合安全保障理事会において決議1546が全会一致で採択された。これにより、イラクにおいては、6月30日をもって占領が終了し、完全な主権が回復されることとなった。(6月28日、米英中心の連合暫定施政当局CPAからイラク暫定政府に対し統治権限が移譲された。) また、この決議により、多国籍軍がイラク支援のために駐留することとなり、イラク復興の政治プロセスを推進するための国際協調体制が再構築された。イラク暫定政府は、治安維持活動と人道復興支援活動を多国籍軍に対して要請し、我が国としても、イラク暫定政府の要請を受けた多国籍軍の中で、イラクの同意及び法的地位の確保を得て人道復興支援活動を継続することとなった。 (2) そこで問題となったのが、多国籍軍の中での自衛隊の活動が憲法違反にならないかどうかであった。その核心は、自衛隊が多国籍軍の指揮下に入るかどうか、多国籍軍の指揮権が自衛隊に及ぶかどうかの点であった。この問題については6月16日、自民党内閣・国防・外交合同部会で活発な議論が交され、私もその点を質したところであるが、6月18日次のように閣議決定をみた。「6月30日以降、自衛隊は、多国籍軍の中で、統合された司令部の下にあって、同司令部との間で連絡・調整を行う。しかしながら、同司令部の指揮下に入るわけではない。自衛隊は、引き続き、我が国の主体的な判断の下に、我が国の指揮に従い、イラク人道復興支援特措法及びその基本計画に基づき、イラク暫定政府に歓迎される形で人道復興支援活動等を行うものであり、この点については、今般の安保理決議の提案国であり、多国籍軍及びその統合された司令部の主要な構成国である米、英両政府と我が国政府との間で了解に達している。 (3) 国連安保理決議に基づく多国籍軍は、1990年の湾岸戦争以来、ソマリア、ボスニア、コソヴォ、東ティモール、アフガニスタン等これまでも幾度となく編成されているが、その実態は多様であり、派遣された各国部隊に対する多国籍軍司令官の指揮統制の態様は、多国籍軍を主導する国・機関との間の参加条件にかかる協議内容に大きく依存しているようでもある。たとえば、ロシアがコソヴォの多国籍軍に参加する際には、NATOとロシアの間で指揮権に関する取極めが結ばれ、ロシア部隊は、あくまでロシアの国家指揮下にあり、NATOの指揮系統からは戦術統制しか受けないことが合意されている。 (4) 今回、我が国は、自衛隊はイラクで活動する外国部隊の中で最も歓迎されており、引き続き自衛隊の支援活動を継続してほしいというイラク暫定政権の要請を受け、我が国としても、イラクの復興と安定が我が国自身の安定と繁栄にとっても重要であるとの認識に立って、イラクへの主権の回復後も、自衛隊が引き続きこれまでどおり医療支援、給水支援、学校修復、道路修復などの人道復興支援活動を継続することとしたものである。 (5) 今回の多国籍軍は、国連決議によって「人道復興支援」がその任務に明確に入っており、イラク人道復興支援特措法の範囲内で行われる人道復興支援のための自衛隊の活動は、勿論武力行使にはあたらないし、また、自衛隊は多国籍軍の指揮下に入らないため、多国籍軍の中で活動することが憲法違反につながるものではない。 (6) 12月9日、イラク特措法基本計画が変更され、自衛隊によるイラク特措法の対応措置が17年12月14日まで1年間延長された。また基本計画において「政府として、現地の復興の進展状況の変化、イラクにおける政治プロセスの進展の状況、現地の治安に係る状況など諸事情をよく見極め、必要に応じ適切な措置を講じることとする」とされた。
(7) イラクの復興と民生に安定を図ることは、中東地域のみならず、我が国を含む国際社会全体の平和と安全にとって極めて重要である。今は、イラクがイラク人の手により一日も早く再建されるよう予定されている政治プロセスを円滑に進展させるために国際社会としていかに支援するかが課題である。自衛隊は、イラクの人と同じ目線で我が国にふさわしい貢献をしてきており、サマーワの人達から感謝と活動の継続が強く求められている。我が国としても、国際社会の一員としての責任を果たすため、我が国にふさわしい分野において、引き続きイラクの復興に積極的に貢献していくべく、派遣の継続が必要である。
(8) なお予定されている政治プロセスは、国民議会選挙の実施及びイラク移行政府の成立(2005年1月末まで)、憲法草案についての国民投票の実施(同年10月15日まで)、憲法に基づく国民議会選挙の実施(同年12月15日まで)、新政府発足(同年12月31日)である。
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