| 1、 この1年、政治は、劇場型政治、テレビ政治の展開であった。前半の通常国会で は田中真紀子氏と鈴木宗男氏に代表される政治とカネの問題がワイドショーそして 予算委員会の場を舞台として浮上、6月には道路関係四公団民営化推進委員会の 委員に高速道路凍結派の作家猪瀬氏が起用され、また、秋の臨時国会では北朝鮮 の拉致問題が焦点となった。そして劇場型政治の展開が小泉内閣支持率に直結し た。県議会の知事不信任から行われた長野県知事選もその一こまとしてとらえられ るかもしれない。 一方で経済は深刻さを増し、デフレ対策など経済に活力を取り戻すための日本経 済再生は待ったなしの状況にあった。 なお、北朝鮮問題については、小泉総理が9月17日に日本の総理大臣として初め て北朝鮮を訪れ、日朝首脳会議を行い、日朝共同宣言を発表した。その後、10月1 5日には拉致被害者のうち5名の方が帰国したが、家族の方々の帰国は未だ実現 せず、年を越すこととなった。 2、 小泉総理は、臨時国会冒頭の所信表明演説で今直面する最重点の課題は、厳 しさを増す環境の中にある日本経済の再生であるとし、10月30日、改革加速のた めの総合対応策を取りまとめた。そのポイントは、不良債権処理を加速することによ り、 金融仲介機能の速やかな回復を図り、金融及び産業の早期再生を図るため取 組を強化することであった。また、金融システム改革、税制改革、規制改革及び歳出 改革の四本柱の構造改革を加速し、デフレを克服しながら、民需主導の自律的な経 済成長の実現を目指すことであった。同時に、不良債権処理を加速する過程におけ る影響に対応し、雇用や中小企業のセーフティネットを拡充し、万全を期することと し、同日、金融庁は金融再生プログラムを発表、平成16年には、主要行の不良債権 比率を現状の半分程度に低下させて問題の正常化を図ることとし、主要行の資産査 定の厳格化、自己資本の充実、ガバナンスの強化の方針を示した。なお、ペイオフ については、実施は、不良債権問題終結後の平成17年4月に延期された。 3、 57日間の短い会期ながら構造改革特別区域法案や特殊法人改革関連法案など 小泉改革を進める重要法案87件が成立した。構造改革特別区域法案は、全国一律 の規制を市町村単位の特定の区域で撤廃、緩和し、経済の活性化につなげようとす るものであり、教育、福祉、農業などの分野で規制緩和が実現される。農薬取締法改 正案では、国の安全審査を受けていない無登録農薬の製造と使用を禁止するととも に販売した業者への罰則強化も盛り込んだ。携帯電話を一度だけ鳴らして、相手が 出る前に切る「ワン切り」業者に刑罰を科する有線電気通信法改正案、自然再生を 総合的に促進するための自然再生推進法案、欧米に比べて立ち遅れている我が国 の特許や著作権などの知的財産の創造・保護及び活用を国家基本戦略として進め る知的財産基本法案、法曹実務家を養成する法科大学院関連法案、北朝鮮によっ て拉致された拉致被害者の支援法案、地方自治体のオンライン化を進める行政手続 関連法案などの法案も相次いで成立した。 4、 野党民主党は今臨時国会に代表選挙を行ったが、その後の党内人事、衆・参補 欠選挙の敗北、党支持率の低迷、野党連合構想による混乱などがあり、代表が交 代。野党は足並みが乱れたままの国会であったが、自民・公明・保守の与党三党が 結束、今臨時国会の新規政府提出法案はすべて成立した。 5、 今臨時国会は低調な国会審議とは対照的に自民党政調の場での政策論議は白 熱したものがあった。インフレターゲット論などのデフレ対策、金融システム改革、産 業再生機構の創設などのほか、米政策改革、道路公団改革、党税調の審議などが その中心であったので、以下それらについて述べることとする。 |