156-衆-農林水産委員会-11号 平成15年05月21日
○岩崎委員 自由民主党の岩崎忠夫でございます。食糧法の一部改正案について質問を申し上げたいと思います。

 質問時間が短いので、大変恐縮でございますが、答弁につきましては端的かつ簡潔にお願い申し上げたいと思います。

 質問に入ります前に、カナダでBSE感染牛が確認されたという報道がございました。これにつきまして、日本の対応としてどうされるのか、北村副大臣にまずお伺いをしたいと思います。


○北村副大臣 先生御指摘のとおり、カナダ政府から、きょう付で、我が政府、農林水産省の方にファクシミリが入ったわけであります。

 それによりますと、該当牛は、百五十頭の飼養農場で肥育されていた八歳齢の乳用牛である。疾病を呈して屠畜場へ出荷されたけれども、食肉に適さないということで廃棄処分をした。そして、そのときに、当該牛の脳はサーベイランスのために検査に回したということでございます。カナダのアルバータ州の農業食料農村局のサーベイランス検査でBSEの可能性が示されたということで、さらにイギリスのパーブライト研究所へそのサンプルを送って、五月の二十日にパーブライト研究所でBSEの陽性と判断された。ここは、日本の一頭目のBSEのサンプルを検出していただいたところでございます。

 カナダの方は、発生農場の検疫を開始、さらに疑似患畜の移動歴の調査に入ったということでございます。我が国は、本日付で、カナダからの偶蹄類の動物及びこれらの動物の肉などについての輸入の一時停止措置を行うということになります。それから、アメリカも、カナダからの食肉等についての輸入を一時停止という措置に入ったということでございます。


○岩崎委員 どうもありがとうございました。今後とも、的確なる対応をぜひともお願いしたいと思います。

 それでは、まず、今回の米政策改革のねらいについてお伺いをしたいと思います。

 我が国の水田農業は、米の需要量が年々減少する中で、四割に上る減反を行いつつも米の過剰基調が継続いたしております。そのことが米価の低下を引き起こし、担い手の水田農業経営を困難といたしているのであります。三十余年続けてきました生産調整方式は、だれも今のままでよいと言う者がいない、まさに限界に来ている状況にございます。

 このような状況の中で、昨年来、米政策の見直しが行われ、自民党農業基本政策小委員会の場は激論の応酬ともなりましたが、十一月二十九日、自民党総合農政調査会取りまとめによる新たな米政策改革大綱骨子により政治決着が図られました。

 自民党の骨子を受けて、農林水産省は、十二月三日、米政策の大転換を図る米政策改革大綱を決定いたしました。食糧法改正案とともに交渉されました米政策改革基本要綱(案)によれば、米づくりの本来あるべき姿は、「市場を通して需要動向を鋭敏に感じとり、売れる米づくりを行うことを基本として、」「消費者重視・市場重視の米づくりが行われること」であるとしております。

 言われてみれば至極当然でもっともなことでありますが、では、なぜこの当たり前のことがこれまでできなかったのか。昭和四十五年以来、三十余年にわたって関係者が生産調整に大変な苦労をしてきたのでありますが、今回、単に理念が変わったから生産調整が円滑に行われるようになるとは直ちには言えないのではないかと思われます。もちろん、何よりも農業者、農業者団体の意識改革が肝要であります。

 今回の米政策改革はまことに大英断だとは思いますが、そもそも今回の米政策改革のねらいは何か、亀井農水大臣にお伺いしたいと思います。


○亀井国務大臣 お答えをいたします。

 今委員御指摘のとおり、米をめぐる情勢、大変厳しいいろいろな課題があるわけでもございます。需要の減少、生産調整の限界感、負担感の高まり、担い手の高齢化など、まさに閉塞状況にあるわけでございます。

 このような閉塞状況を打開するために、昨年十二月に、水田農業の未来を切り開く、御指摘いただきました米政策改革大綱を取りまとめ、そして需給調整対策、生産構造対策、あるいは流通制度の改革を整合性を持って行うこととしたわけでございます。

 今回の改革は、米を取り巻く環境の変化に対応して、消費者重視、市場重視の考え方に立って、需要に即応した米づくりの推進を通じて我が国の水田農業経営の足腰を強くしようとするものでありまして、これにより、生産者がつくる喜びを感じ、また消費者にとっては選択の幅が広がるような形、これに全精力を向けてまいりたい、このように考えております。

○岩崎委員 どうもありがとうございました。

 今回の米政策改革は、米の需要調整において農業者、農業者団体が主役となるシステムを構築することであります。農業者、農業者団体が主役となるシステムとは、在庫状況等を基礎に算定される客観的な需要予測に基づき、農業者、農業者団体が主体的に地域の販売戦略により需要に応じた生産を行う姿であるとされます。

 こうした米政策改革の理念、考え方には大変すばらしいものがございますが、問題はその実効性であります。市場機能に期待することは基本的に正しいものと思われますが、過度に市場機能に期待することも禁物だろうと思います。これまで、国、地方の行政措置をてことして生産調整が行われてまいりましたが、国、地方の行政措置なしに生産調整の実効性が十分に確保されるかどうか、生産過剰となるおそれはないか、価格の低下をもたらさないかどうか、懸念されるところであります。

 大綱では、「農業者・農業者団体が主役となるシステムにおける国及び地方公共団体の役割を食糧法上明確に位置付ける。」とされておりますが、生産調整の実効性が確保されるべく、どのように法文上位置づけられたのか、今回の措置で実効性が担保されたと言えるのか、また、今後とも実効性確保方策を絶えず見直していく必要があると思いますが、実効性確保方策についてお伺いをしたいと思います。

 とりわけ生産現場では、推進交付金が減額されたこともありまして、県や市町村の役割が後退するのではないかと大変心配しておりますので、あわせて、実効性確保の見地からの県や市町村の役割についてもお伺いしたいと思います。

○石原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の米政策の改革におきましては、ただいま委員の方からお話ございましたように、農業者、農業者団体が主役となるシステム、これができるかどうかがポイントであろうかと思っております。

 これを平成二十年度までにつくり上げたいと考えておるところでございますけれども、このような考え方で、平成十六年度から、当面の需給調整というようなことで、これまでの面積による管理から数量による調整に転換いたします。そうした上で、各都道府県産米の需要実績を基礎にいたしまして、客観的な需要予測に基づく生産目標数量を設定いたしまして、いきなり農業者に任せるということではありませんで、当面は、行政ルートでの配分をあわせて行うことによりまして、いろいろなノウハウを農業者団体の方に知っていただいて体制整備を行いたいというふうに考えております。

 それから、農業者の主体的経営判断に資するように、需給や価格に関する情報をタイムリーに伝達するというのもポイントでございます。

 それから、今回の法改正におきまして、生産出荷団体等、すなわち農協等が作成する生産調整方針を国が認定するシステムを設けさせていただきました。そして、その生産調整方針につきまして、その作成及び運用につきまして、国、地方公共団体が助言あるいは指導を行うという形にしております。

 そしてまた、産地づくり推進交付金の中の米価下落影響緩和対策それから産地づくり対策、こういうものにつきましては、生産調整実施者を交付対象とするということにしているところでございまして、これらによりまして、農業者、農業者団体が、主体的判断により、実効ある生産調整の取り組みが行われるようにしてまいりたいと考えているところでございます。

 あわせまして、地方公共団体、県、市町村がどのように役割を果たすのかという点でございますけれども、地域の作物戦略、それから販売戦略、それから担い手の育成、こういうものを明確にした地域水田農業ビジョンというものを生産者団体と一体となって作成してもらおうと思っております。

 それから、生産調整方針が地域農業振興に資するものとなるように、その作成及び運用に対しましていろいろな助言、指導を行っていく、先ほど申し上げたとおりでございます。このような役割を地方公共団体に期待しているところでございます。


○岩崎委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、今回の米政策改革、待ったなしであります。ぜひ全力を挙げて、改革が成功するように、各般の措置を考えていただきたいと思います。

 今後も米の需要減はさらに進むと見込まれまして、新たな農業者、農業者団体が主体となるシステムにおきましては、これまで以上に需給緩和の可能性を内包していると考えられます。そのため、生産調整を実効あるものとするためには、メリット対策に関する十分な予算措置がその成否を左右するとも考えられます。

 昨年十月以降の米政策改革の議論において、過剰米対策は、生産調整に対する国の関与のあり方と並んで、農業団体と農林水産省とが対立した点でありますが、過剰米対策や産地づくり交付金などの助成水準が需給調整の成否を決めるとも思われます。

 効果的な過剰米対策を推進するためには、豊作分を確実に区分出荷させることが必要であります。そのためには、過剰米短期融資制度の融資単価の水準が、多様な加工原料用需要の動向を十分調査検討の上、生産調整実施者のメリットとなる十分な価格水準とすることが必要であります。また、生産者手取り水準にも、生産調整実施者のメリットとなるような上乗せの仕組みが必要であると思われます。御見解を賜りたいと思います。


○北村副大臣 先生からの御指摘、大変重要なことだと我々は認識をしております。

 先生今御指摘をいただきました過剰米短期融資制度の融資単価につきましては、これはもう言わずもがなでございますが、豊作により需要を上回って生産された米の価値として想定される単価、これはすなわち、新規加工用途やあるいはえさ用などへの販売価格を基本として設定することが適当であると考えております。

 仮に過剰米の価値よりも高い融資単価を設定したならば、今回の改革の重要なポイントであります需要に応じた生産の必要性が農業者に十分伝わらなくなることに加えて、貸付金の返済が米の引き渡しなどでなされた場合、融資元である米穀安定供給確保支援機構が差損を抱えることとなりまして、制度の運用に支障を来すおそれが強いというふうに考えられます。

 いずれにいたしましても、先生御指摘の、農業者が円滑に過剰米を処理することができるように、過剰米の区分出荷を促進するための措置を含めて、制度全体の適切な運用については十分検討し、十六年度予算の概算要求の決定時までには決定してまいりたい、このように考えているところでございます。


○岩崎委員 過剰米の処理は大切な課題であります。ぜひとも実効ある措置をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、地域水田農業ビジョン作成についてお伺いをいたします。

 今後の水田農業政策と米政策は、生産調整のみ切り離して展開するのではなく、作物作付及びその販売の目標や担い手づくりの目標などを具体的に定めました地域水田農業ビジョンを作成して展開することになります。その一環として生産調整が推進されることになります。すなわち、この地域水田農業ビジョンのできばえが、生産調整の実効性、ひいては地域農業の将来を決めることになります。画一的な通り一遍の作文であってはなりません。関係者の十分な地についた議論が必要であります。

 各地域の取り組みは始まったばかりだと思いますが、地域水田農業ビジョン作成の取り組みの状況、及び作成に当たって特にどういう点に留意したらよいか、お伺いをしたいと思います。

○須賀田政府参考人 地域水田農業ビジョンでございます。その中身でございますが、要は、どんな作物をつくり、どう売り込むか、逆に言いますと、売れる作物をどうつくっていくかということ、そしてそれの担い手、持続性のある経営体をどう育成していくか、それらのために地域水田農業の改革の方向と支援はいかにあるべきか、こういうものを盛り込んでいただくということでございます。

 このビジョンの策定に当たりましては、そういうことでございますので、農家の意見だけではなくて、消費者でございますとか実需者の意見も取り入れていただきまして、あるべき姿と実現方策ということでしっかりと議論をしていただきたいと考えております。

 現在、三月下旬にビジョン策定に当たっての留意事項を市町村にお知らせをいたしましたけれども、四月下旬現在で、全国で二割程度の市町村で作成作業に入られたということでございまして、全体の市町村の策定作業がさらに進むように、情報提供に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます

○岩崎委員 今回創設されます産地づくり推進交付金制度におきまして、そのうち、産地づくり対策では、一定の交付額が一括して地域に交付され、国が示すガイドラインの範囲内で、地域みずからの発想、戦略に基づき、助成金の使途は地域が決めることになります。これからの米づくりは、地域の特性を生かし、創意工夫を発揮した産地づくりを進めることが何より大事であることからいたしましても、また、限られた財政資金を最も効率的に使用し、また地方分権推進の観点からも大きく評価すべきものであります。

 もちろん、国が示すガイドラインは、目的に沿って、かつ柔軟なものであることが必要でありますが、同時に、地域への交付金の算定方式は、地域の取り組み実態を踏まえた合理的なものであることが必要であります。また、交付金の額は、今後の生産調整の取り組みに対応できる十分な助成水準とすることが必要であります。

 産地づくり推進交付金の額については、十六年度の概算要求までに検討するとのことでありますが、農業者、農業者団体が主役となる需給調整システムを成功させるために、十分な助成水準を確保するという大臣の決意をぜひともお伺いしたいと思います。

○亀井国務大臣 産地づくり対策につきましては、ガイドラインに基づきまして、そのアイデアを募集中、いろいろ今各地域でそのお考えをおまとめをしていただいておるわけでもございます。

 現行の米生産調整対策では、水田農業経営確立対策において、例えば小麦や大豆と水稲との収益格差が十アール当たり三万四千円から三万五千円であるにもかかわらず、助成金が、共補償を含めて、平均的には小麦で十アール当たり六万一千円、あるいは大豆で五万五千円、この助成がされておるわけでもございます。これが、構造改革の著しいおくれや、あるいは品質の劣る麦、大豆の生産による需要とのミスマッチ、生産調整以外の生産対策や構造政策の予算の圧迫等の要因になっているとの指摘があるわけでもございます。

 産地づくり対策の算定に当たっては、このような状況を踏まえて、農家の生産意欲の喚起、こういう点に配慮しつつ、自給率の向上、担い手の育成、あるいは麦、大豆の品質向上や耕畜連携の推進に重点化したものとする必要があると考えておるわけでありまして、このような中で進めてまいりたいと思っております。

○岩崎委員 次に、担い手の経営安定対策についてお伺いをいたします。

 今回の米政策改革では、米価下落による稲作収入の減少の影響が大きい一定規模以上の水田経営を行っております担い手を対象に、産地づくり推進交付金の米価下落影響緩和対策に上乗せし、稲作収入の安定を図る対策として、担い手経営安定対策を講じることとされております。そして、一定規模とは、認定農業者にあっては都府県で四ヘクタール、集落型経営体にあっては二十ヘクタールとされております。

 水田農業において、集落営農を組織化し、これを経営体として発展させていくことは、構造改革を進めていく上で不可欠のことと思われますが、調査によれば、現在の集落営農で、経営としての一体性を持って集落の営農を一括管理運営している者は約一割にとどまっております。今後その育成が課題とされるところであります。

 そこで、担い手経営安定対策の加入対象者の要件は地域実態を踏まえたものとすべきであると考えますが、お考えを伺いたいと思います。

 また、米政策改革のもとで、価格が現行水準以上に下落することも懸念されておりますので、担い手に対する新たな経営所得安定対策を早期に検討することが必要だと思われます。経営所得安定対策の具体化の検討はどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。

 なお、市場原理の導入により中山間の水田農業が今後衰退していきはしないか、懸念されております。条件不利地域、直接支払いなど別立ての施策の充実も考えられますが、中山間地域における担い手経営安定対策についてどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

○川村政府参考人 担い手経営安定対策でございます。この対策につきましては、今委員が御指摘のような基本的な考え方で臨んでおるところでございますが、その具体的な仕組み、特に規模要件等につきましては、現在いろいろな都道府県等からの意見等が寄せられております。この対策につきましては、他の米政策と一体のものでございますので、平成十六年度概算要求の決定時までに各施策の総合性、整合性を図りながら具体的に決定をしていきたいということで、現在検討を進めているところでございます。

 それから、全般的な経営所得安定対策でございますが、これにつきましては、基本計画におきまして、個々の品目ではなくて経営全体をとらえる、また、農産物の価格の変動ではなくて、農業収入なり所得の変動を緩和する仕組みということで検討を行うということにされておるところでございます。

 今回の米の担い手経営安定対策でございますが、価格変動ではなくて稲作収入というものに着目をいたしておりますので、そういう意味では一歩踏み出すものと考えております。米政策の改革のステップをいろいろにらみながら、今後さらに検討を深めていきたいと思っております。

 また、中山間の問題でございますけれども、今回、集落営農のうち一定の要件を満たすものを新たに担い手として位置づけております。これは、特に中山間地のように、個別経営ではなかなか規模がまとまらなく零細であるといったようなところでは、集団的な土地利用、面的な土地利用が非常に重要になっておりまして、この集落型経営体等の考え方というのは今後中山間地域においてより効果を発揮するのではないかということで期待をしているところでございます。

○岩崎委員 今後の米の流通制度については、需要に応じた売れる米づくりを流通面から促進する観点から、計画流通制度を廃止し、必要最小限の規制のもとで安定供給を図ることとしております。これにより、米の価格と需要動向に応じた集荷、流通が行われることが期待されております。その取引の中心が米穀価格形成センターであり、主要銘柄の定期的入札のほか、スポット取引、逆オークション等の多様な取引が予定されております。

 米市場が、価格の乱高下をもたらすことなく、安定供給と適正な価格形成の機能を期待どおり果たすかどうか、安定供給確保の見通しについてお伺いをしたいと思います。

○石原政府参考人 今回の改革で、流通制度につきましては、基本的に、現在あります、さまざまな規制があります計画流通制度を廃止いたしまして、ただいま委員の方からお話がございました、需要に応じた米づくり、それから創意工夫ある米産業の発展、そういう観点に立ちまして、安定供給のための自主的取り組みを支援する体制に移行したいと考えているところでございます。

 内容は二つございまして、一つは、出来秋の投げ売り、こういうことによりまして安定的な流通に支障が生じる、それがひいては生産段階にも悪影響が及ぶ、そういうことを回避したいということで、米穀安定供給確保支援機構というものを創設いたしまして、民間事業者の安定供給の確保に向けた自主的な取り組みへの債務保証等について支援を行いたいと考えておるところでございます。

 また二つ目には、自主流通米価格形成センターを改組いたしまして、需要に応じた多様な取引の実態を反映した価格が形成されるように、公正中立な取引の場として育成、拡充したいと考えているところでございまして、これらによりまして、消費者ニーズに即した米の安定的な供給を図っていく考えでございます。

○岩崎委員 それでは次に、モダリティー確立が先送りとなっておりますWTO農業交渉についてお尋ねをいたします。

 ハービンソンWTO農業委員会特別会合議長によります農業交渉モダリティー一次案改訂版で提案されております関税削減方式は、一律に関税格差を圧縮するハーモナイゼーションの考え方が強く、非貿易的関心事項への配慮にも欠けており、今後の交渉のベースにならないことは明白であります。

 しかしながら、仮に一次案改訂版に近い内容でWTO農業交渉が決着するようなことがあれば、我が国の米政策改革にも甚大な影響を及ぼし、今回の米政策改革も根底から見直さざるを得ないこととなります。

 今回の米政策改革を円滑に進めるためにも、カンクン閣僚会議に向け、我が国提案を踏まえ、各国が受け入れ可能な十分にバランスのとれた現実的かつ包括的なモダリティーが確立されますよう、EUなどフレンズ諸国と緊密な連携を保ちつつ、開発途上国の支持の拡大に努めていくべきだと思われますが、現在、WTO農業交渉にどのように取り組まれておられますか、亀井大臣にお伺いしたいと思います。

○亀井国務大臣 お答えをいたします。
 ドーハ閣僚宣言に記された期限である三月三十一日までの農業交渉のモダリティーの確立、これはできなかったわけでありまして、加盟国間では、九月のメキシコのカンクンで予定されております第五回WTO閣僚会議に向けてできるだけ早期にモダリティーを確立するという共通認識であるわけであります。

 四月末のOECD閣僚理事会あるいはWTOの非公式少数国閣僚会議において、九月のカンクン閣僚会議での成果を目指すべき分野として、各国から、農業、非農産物市場アクセス等六項目を中心に言及があったところでもございます。

 今後、この農業交渉のプロセスとしては、技術的な事項の検討を継続する、あるいは六月及び七月に予定されております農業委員会特別会合の機会あるいは各国間の協議、また六月にエジプトで開催されますWTO非公式少数国の閣僚会議等を通じまして、各国が合意できる解決策を探る、こういうことになっておるわけであります。

 私も、四月末から五月にかけまして、ベルギー、フランス、スイスに参りまして、そして、交渉の最大のパートナーでありますEUのフィシュラー農業・漁業委員あるいはラミー貿易委員と会談いたしまして、カンクンの閣僚会議に向けまして日本、EUが一層緊密に連絡を密にしていくということを確認したわけでもございます。

 あるいはまた、WTO交渉を取りまとめますスパチャイWTO事務局長、ハービンソン議長と会談をいたしまして、明確に我が国の立場を伝えてきたところでもございます。

 交渉を進捗させる柔軟な対応を求められるのは、多くの国が受け入れることのできない過度に野心的な提案を行っておりますアメリカやケアンズ諸国である、このように考えております。

 今後とも、多様な農業の共存を基本理念といたしまして、引き続きEU等フレンズ諸国などと連携を強めながら、途上国を初めとする各国に対しましても粘り強く働きかけて、二〇〇五年一月の交渉妥結に向けて、現実的かつバランスのとれた貿易ルールが確立されますよう全力を尽くしてまいる決意であります。

○岩崎委員 大臣、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後に、リンゴ火傷病の植物検疫措置に関するWTOパネルについてお尋ねします。

 三月末の新聞報道によりますれば、WTOのパネルで米国の主張をほぼ認めた非公開の中間報告が日米両国に示されたとされております。火傷病は、地球上で未発生国は中国、韓国、日本など一部に限られており、現在確固たる防除対策がございません。一たん侵入を許せば、リンゴだけにとどまらず、我が国の果樹全般に甚大な影響を与えるものであります。新聞報道が事実とすれば、我が国にとって大変厳しい事態であります。

 このような事態を受けて、農林水産省はどのようにこれを受けとめ、今後どのような対応をとられていくのかお伺いして、質問を終えたいと思います。

○須賀田政府参考人 リンゴ火傷病に関します日米間の紛争、三月二十日に、先生言われますように、WTOの事務局から中間報告が日米両国に発出をされました。

 中間報告の内容は、先生もおっしゃられましたように非公開ということでございますので、具体的な内容ということにつきましては明らかにできませんけれども、要は、争点といたしましては、果実の内部または表面に火傷病菌が存在するかどうか、そしてそれらが火傷病を伝播させ得るかどうかということが争点になっておりまして、厳しい内容になっていますけれども、現在、果実の内部に火傷病菌が存在をしてそれが火傷病を伝播するということを前提といたしました我が国の検疫措置の正当性につきまして、働きかけ、主張をしているところでございます。

 今後は、パネルの報告書が六月ごろまでには出るものと見込まれておりまして、その報告書が出された段階で、内容を十分に精査、検討した上で、上級委員会への申し立てを含めまして適切に対処していきたいというふうに考えているところでございます。

○岩崎委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。