1、12月20日、平成16年度予算の財務省原案が内示され、各省庁と財務省との復

 活折衝を経て、24日16年度予算案が閣議決定された。一般会計82兆1,109億円

 (+0.4%)、一般歳出47兆6,320億円(+0.1%)とやむを得ない増要因を除き、

 実質的に前年度の水準を下回る予算となった。前年度に引き続き社会保障関係費

 が19兆7,970億円、4.2%増、科学技術振興費が1兆2,841億円、4.4%と伸びた

 一方で、公共事業関係費は7兆8,159億円、△3.5%と抑制された。また、中小企

 業対策費は1,738億円、+0.5%と創業・経営革新の推進や人材育成、中小企業に

 対する円滑な資金供給を図ることとされた。また、農林関係予算については、食

 の安全・安心の確保や環境保全に配慮しつつ、施策の対象を意欲と能力のある経

 営体へ重点化し、米政策の改革をはじめとする農業の構造改革の着実な推進等を

 図ることとされた。


2、一方歳入については、税収が41兆7,470億円と税源移譲による税収への影響分

 4,250億円を飲み込んで△0.1%とほぼ前年度並み。公債発行額は36兆5,900

 億円とこれも+0.4%とほぼ前年度並にとどまった。その結果公債依存度も44.6%

 と前年度と同水準となった。16年度末の国債残高は前年度末の459兆円から24兆

 円増えて483兆円に上り、国地方あわせた長期債務残高は、719兆円程度と見込まれ

 る。対GDP比で143.6%となる。



3、平成16年度予算編成の最大の焦点は年金制度改革と国と地方の三位一体改革で

 あった。まず年金制度改革については、12月16日の与党年金制度改革協議会にお

 いて基礎年金の国庫負担割合の2分の1へ引き上げについては、平成21年度までに

 2分の1とすることとし、平成16年度から着手する。また保険料水準固定方式の導

 入により調整される将来の給付水準については少なくとも現役世代の平均的収入

 の50%以上を確保するものとし、その旨を法律に明記する。以上を踏まえ、厚生

 年金の保険料の上限を18.35%(本人9.175%)とし、これに伴い厚生年金の保険

 料は平成16年10月から毎年0.354%(本人0.177%)ずつ引き上げることとされた

 (その後平成16年2月4日の与党年金制度改革協議会において、厚生年金の保険料

 の上限は平成29年度以降18.30%(本人9.15%)と引き下げられた。また国民年金

 の保険料は、平成17年4月から毎年月額280円ずつ引き上げ、平成29年度以降

 16,900円とするものとされた。)。



4、また、地方にできることは地方にとの原則のもとに国庫補助負担金の改革、税

 源移譲、地方交付税改革を三位一体として改革するいわゆる三位一体の改革につ

 いては、12月19日三位一体の改革に関する政府・与党協議会において決着を見た。


  (1) これによれば、平成16年度予算において、地方団体に対する国庫補助負担

  金について1兆円の廃止・縮減等の改革を行い、これに伴い公立保育所に係る

  児童保護費負担金等2440億円が一般財源化され、義務教育費国庫負担金(退職

  手当・児童手当分)は暫定的に一般財源化される。


  (2)   税源移譲については、平成18年度までに、所得税から個人住民税への本

  格的な税源移譲を実施することとし、それまでの間の暫定措置として、平成16

  年度税制改正において所得税の一部を使途を限定しない一般財源として地方へ

  譲与する所得譲与税を創設する。所得譲与税による平成16年度の税源移譲額は

  4,249億円とし、人口を基準として都道府県及び市町村へ譲与する。義務教育

  費国庫負担金の退職手当及び児童手当については、今後その額が大きく変動す

  ることが見込まれることから暫定的に税源移譲予定交付金として、平成16年度

  は2,309億円を交付する。


 (3) 地方交付税の改革については、次のような地方歳出の抑制を行い、地方交

  付税の総額を16.9兆円(対前年度比△1.2兆円、△6.5%)に抑制する。


     @  投資的経費(単独)の大幅削減

      平成15年 14.9兆円→平成16年 13.5兆円(△1.4兆円、△9.5%)

     A   給与関係費の抑制(地財計画上人員の1万人純減)

    平成15年 23.4兆円→平成16年 23.0兆円(△0.4兆円△1.9%)


(4) 三位一体改革については、公立保育所に係る児童保護負担金などが一般財源化

 され、また税源移譲において、平成18年度までに所得税から個人住民税への本格

 的な税源移譲を行うこととしてそれまでの暫定措置として所得譲与税を創設する

 など地方分権の名にふさわしい成果をあげたが、一方地方交付税改革により、地

 方団体の現実の財政運営には厳しさが求められるものとなった。とりわけ、地方

 財政計画上の投資的経費単独分については、これまでも計画額と決算額の乖離が

 著しいと指摘されていたところであったが、今回その規模是正をあわせて行った

 ため△9.5%と削減額が大きくなったことは大変残念なことである。地方経済が

 困窮している実情に鑑みれば、地方団体は率先して地方行革に取り組み、地方財

 政計画に計上され、同時に財源措置もされている投資的経費を確保するよう努力

 が求められなければならないと思う。計画額と決算額の乖離はまだまだ大きいも

 のと見られているため、今後とも計画額と決算額の規模是正が求められるのは必

 至であろう。そうした事態を避けるためには、地方団体全体として投資的経費の

 計画額に見合った予算計上をするようその努力を求めるとともに、著しく計画額

 を下回って予算計上している地方団体には実効ある是正の指導が認められて然る

 べきだと思う。地方交付税法は、運営の基本として交付税の使途を制限してはな

 らないと規定するが、同時に地方団体に、その行政について、合理的かつ妥当な

 水準を維持するよう求めているからである。