154回-衆-内閣委員会国土交通委員会連合審査会 01号 2002/04/18
○岩崎委員  自由民主党の岩崎忠夫でございます。
 昨年11月、特殊法人等改革推進本部が先行7法人の改革の方針を決定いたしました。日本道路公団の廃止、民営化の方針が打ち出されましてから、国民、とりわけ地方の人たちは大変心配をしております。

 本日は、短い時間ですが、そうした国民の心配が払拭されるよう、国民に対し、明確なメッセージを送る答弁をしていただきたいと最初にお願いするものであります。


 私は、日本道路公団見直し論の中に、道路はこれだけつくったんだから、もうそろそろゆっくりつくればよいのではないか、そういった気分が一部にでもあるとしたら、それは地方の人たちの気持ちとは正反対であるとまず明確に申し上げておきたいと思います。

 一例として、大変恐縮ではございますが、首都圏200キロ圏内の私の選挙区、上田、佐久地域の道路事情を例にとって申し上げたいと思います。
 私の選挙区は、これまで霞が関への陳情は余りない地域でございましたが、その例外は道路であります。私の選挙区の市町村長の霞が関への陳情のうち、十中九か十は道路についての陳情であります。にもかかわらず、道路については大変な被害者意識を持っております。

 まず、長野オリンピックによって開通しました上信越自動車道は、群馬県から長野県に入った途端に四車線から暫定二車線に変わります。県庁所在地の長野市と13万都市の上田市とを結ぶ国道18号バイパス計画27キロメートルは、この20年間全く進展を見せておりません。そして、上田市街地を迂回する国道18号上田バイパスは、長い間休止路線とされておりました。また、長野県の東信と中信とを結ぶ地域高規格道路の構想は、いまだ国の候補路線にもなっておりません。ようやく最近、地域の声が国に届くようになってまいりましたが、そのやさき、今回の道路公団の廃止、民営化で、地域の人たちは、中部横断自動車道は一体どうなるのか、大変な心配をいたしております。私の選挙区では、道路整備はまだまだこれからの段階なのであります。

 そこで最初に、日本道路公団の廃止、民営化のお考えについてお尋ねをいたします。

 特殊法人改革は、規制緩和、地方分権改革と並んで長年行政改革の中心的課題とされ、その考え方は行政改革の歴史の中で連綿として受け継がれているものであります。それで私も、昭和58年の第二臨調答申以来、第三次行革審答申、平成7年の特殊法人整理合理化についての閣議決定、そして一昨年12月に閣議決定されました行政改革大綱などをひもときまして、特殊法人改革の見直しの考え方、基準、視点などに当たってみましたけれども、残念ながら、日本道路公団民営化につながるような基準は見当たりませんでした。

 これまでの特殊法人改革の計画の中でどこにも見当たらない、そして、だれも言わなかった道路公団民営化の考えを打ち出されました小泉総理の卓見、着想には目の覚める思いがいたしますが、民間にゆだねられるものは民間にということで、総理のリーダーシップにのっとって公団の廃止、民営化が決定されたと言われましても、それだけでは十分な説明ではありません。

 偉大なリーダーシップには、それを裏づける明確な根拠と国民に対する説明が必要であります。まして、国民生活に大きな影響を与えかねない道路公団の廃止、民営化というような重大な政治決定をするには、その理由を明らかにし、国民がいたずらに心配することのないよう、国民を十分納得させるだけの説明をする必要があると思います。

 そもそも、公私が同一の法体系で律されます英米とは異なりまして、我が国行政法学上、公共公物管理あるいは行政財産管理の中核をなします道路管理権限との関係をどう考えるかなど、民営化は実はそう簡単ではありません。民営化の理由について、石原行革担当大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

○石原国務大臣 岩崎委員にお答え申し上げます。
 道路四公団を含みます特殊法人、これまでもちろんパブリックカンパニーとしてその使命を担ってきたことを私は否定するものではございませんが、親方日の丸、つぶれないということで経営責任が非常に不明確になってくる、あるいは、事業の非効率性あるいは情報開示が至っていないために不透明性、また、これは役所にも言えることだとは思いますけれども、みずから仕事をふやしていくといったような自己増殖性、そして財投資金を借りてくるというところにその根底があるために自律性の欠如というような問題が指摘をされているところでございます。

 さらに、道路公団について言及をさせていただきますと、交通需要というものを過大に見積もることによりまして償還計画というものを立てているのではないか、あるいは将来の交通量によっては円滑に償還できなくなる、すなわち借金を返せなくなるのではないかといったような問題点が指摘されているわけであります。

 このような問題点を踏まえまして、特殊法人改革では、総理の哲学でございます民間にできることは民間にゆだねるとの原則に基づいて事業そして組織の徹底した見直しを行って、整理合理化計画というものをまとめさせていただいたわけでございます。

 それでは、民営化された道路公団はどういう経営になるのか。予想されることといたしましては、経営の効率性は、民間になればつぶれてしまいますので、当然、より図られる。また、競争原理というものが働きますので、利用者のサービスの質の向上というものは、国鉄の分割・民営化を見るまでもなく、あると思います。このような民営化のメリットというものを国民の皆様方が享受していただけるようにすることが一つのポイントでございますし、現在御審議をいただいておりますこの民営化推進委員会が、これから新たな組織が、採算性を確保して、債務を確実に償還できる方策について御意見をいただく。

 私も、右肩上がりの経済であるならば、国土の均衡ある発展ということで、できる限り交通網を整備していくということには賛成でございますが、現在のこの厳しい財政事情の中で、また少子高齢化社会の中で、やはり確実に返せるということに対して、その確実に返す方策は何があるのかというようなことを御意見をちょうだいして、政府としてそれを取り入れて民営化に資するように努力をしていきたいと考えております。
○岩崎委員 どうもありがとうございました。 現在の公団の需要見通しのあり方とかあるいは償還計画、そういったもろもろの問題点を見直しまして、やはり形態として民営化のメリットを十分に生かして、そして新しい時代に託された道路事業のあり方を探っていこう、こういうことでありまして、大変結構なことであります。どうか国民にも十分納得のいく説明になりますように、今後とも大いにPRに努めていただきたいと思う次第であります。

 次に、委員会の調査審議の範囲について御質問を申し上げたいと思います。
 法案では、委員会は、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、日本道路公団にかわる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保について調査審議するものとされております。

 言うまでもなく、高速自動車道の建設、管理の法的枠組みは、国土開発幹線自動車道建設法別表に定められました1万1520キロの予定路線のうち、国土交通省に置かれました国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、基本計画、整備計画が定められます。日本道路公団は、この整備計画に基づく施行命令が出されて初めて、高速自動車道の建設を行うものであります。すなわち、基本計画、整備計画はあくまで国、国土交通大臣の責任で決定されるものでございまして、基本計画、整備計画に対する日本道路公団の関与は、現行においても法律上全く認められていないものであります。

 この日本道路公団と国の定める基本計画、整備計画との関係は、日本道路公団にかわる新たな組織と国の定める基本計画、整備計画との関係におきましても、当然のことながら妥当するものと考えます。したがいまして、委員会は、こうした予定路線、基本計画、整備計画の仕組みを前提として、日本道路公団にかわる新たな組織がそのうちどこまでをやるのかについて、交通量、採算性等の観点から見直しを行い、指針を定めるものでありまして、委員会がそれを超えて、基本計画、整備計画そのものについてまで調査審議するものではないと思われますが、どうでございましょうか。余りにも当然のことと思われますが、国民が心配するといけませんので、石原行革担当大臣に、念のため確認をしておきたいと思います。 
○石原国務大臣 ただいま岩崎委員が御指摘されましたように、日本の高速道路の整備については、高速自動車国道法に基づいて国土交通大臣が、昔でいいますと国幹審、今は国幹会議の議を経て、政府として最終的に決定するということは言うまでもないと思います。

 しかし、現在検討いただいております民営化推進委員会においては、整理合理化計画でお示しをさせていただきました、国費を投入しない、償還期限は50年を上限として短縮を目指すという基本方針のもと、先ほども議論になりました道路の需要見通し、金利の動向、費用対効果分析の考え方について御検討いただき、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性の確保に関する基準について総理大臣に御意見をいただく。そこで、これからのあるべき高速道路の採算基準、こういうものを決めていただいて、国土交通大臣が適切に処理され、最終的に国として決定をするというふうになっております。
○岩崎委員 ちょっと気になる表現もありましたけれども、私は、基本的には、新しい組織が国の責任で定める整備計画等に定められた路線のうちどこまでをやるのかということについていろいろな議論をし、そして結論を得て見直しの基準を定める、そういうものが現在の我が国の法的枠組みだろうと思います。そういうことで理解をいたしまして、次の質問をいたしたいと思います。

 私は一言申し上げておきたいのですが、我が国の道路をどのようにどこまでつくるかというのは、まさに国の責任、政治の責任で決めるべきものであって、国民に責任を持たない者がその根幹のところをみずから決めるということはやはりちょっと問題があるのじゃないか。現在の法的枠組みなりこの法律はそこまでを言っているものではないと私は理解をしているのであります。
 次いで、ちょっと時間がなくなってきましたので、委員会の委員構成について、これは答弁は要りません。

 私は、現在の委員会の調査審議の範囲なり性格からいたしまして、委員会は、国が定めました整備計画に従って、高速自動車道の建設主体の組織形態とその採算性の確保について調査審議するものでございますので、やはり公平性、中立性とか、公正な判断ができる人でなければならないのは当然でありますから、当然のことながら、道路交通、物流、国土政策、財務等についてすぐれた識見を有する専門家で構成されなければいけない。私の考えだけを申し上げて、これは質問をいたしません。

 次に、高速道路整備計画の着実な実施について御質問をしたいと思います。
 推進委員会の調査審議の範囲は、国の定める整備計画等を前提として、交通量、採算性等の観点から道路公団にかわる新たな組織が行う事業について見直しを行い、指針を定めるもの、このように理解をしておりますが、国民、とりわけ地方の人たちは、推進委員会の調査審議の行方に大変な不安を感じております。私は、改革の推進のためには、こうした国民の不安感を払拭することが政治の責任として何より大事なことと考えます。

 そもそも、今申し上げましたように、高速道路をどれだけどのようにつくるかは、まさに政治そのものの責任で決定されるべきものであって、そうした観点から現在の高速道路の予定路線、基本計画、整備計画も定められているものと考えているのであります。私は、政治家の責任として今の時点で、今後とも、整備計画に定める9,342キロはもちろん、基本計画区間、予定路線はきちんと整備すると明言することが、いたずらに国民の不安を招かないためにも、そして小泉改革に国民の協力を得るためにも、ぜひとも必要ではないかと考えております。

 言うまでもなく、高速自動車道は国土の根幹的な施設であり、あらゆる経済、国民活動の基礎的なインフラであります。我が国の高速道路ネットワークは、現行の計画が完成した暁におきましても、欧米諸国に比べてかなり低い水準にあるのであります。扇大臣が先ほど答弁いたしましたが、お隣の中国が毎年3,000キロ近くのペースで高速道路を建設していることを考え合わせますと、インフラ整備で中国におくれをとることがないかどうか、懸念されるところであります。

 我が国の物流などの高コスト構造の改善、また地球温暖化対策に対応してCO2削減を進める観点からも、我が国の高速道路を国の責任において、今後ともきちんと整備していくことがますます必要となっていると考えます。

 そこで、扇国土交通大臣、この際、まず高速自動車道の整備計画9,342キロは、将来とも国の責任においてきちんと整備するのだという明確なメッセージを、答弁として国民に送っていただきますようお願い申し上げます。 
○扇国土交通大臣 今、岩崎議員の御説は、基本的には賛成です。ただし、現状況で果たして9342、1152、これを達成する状況にあるかどうか、そしてそれをつくるにも、我々は国民の税金でこれを賄っているわけでございます。

 少なくとも道路公団一つとってみても、道路公団の子会社、関連会社、82社ございます。その中で代表者の天下り、そう言ってもいいと思います、それが90%、そして役員に至っては60%、こういうことがあって、子会社だけが黒字で、そして、道路公団の整備する道路、あるいは四公団が整備する道路、国民の目標を達成するためには、国民の税金をいかに節約していくか、それを我々はしなければ今おっしゃった岩崎議員の目標も達成できない。そのための見直しが今でございますので、私は、岩崎議員がおっしゃった国民に安心してもらうためには、まずみずからの姿勢を正し、むだを省くという意味で今回の見直しが必要だと思っています。
 

○岩崎委員
 私も大臣のお説に全くそのとおりだと思います。道路公団のことについてはいろいろな議論があります。まさに新たな建設主体が、有料道路事業として国道を、有料道路をできるだけ効率的に、多く、採算性を考えながらやっていただきたい。

 ただし、私は、整備計画9342キロを道路公団だけがつくれ、何もこう言っているのではございません。私は、これは国が政治の責任できちんとつくることが必要なんだ、道路公団にはそのうち採算性の範囲でできる限りの努力をしていただく、いろいろ見直しをしていただく、そしてそれ以外は、ほかに税金を投入してやる方法があるわけですから、国の責任で9342はきちんとつくる、そういうメッセージが欲しかったと思いますが、気持ちは大臣もそのような気持ちだと思いますので、よろしくお願いを申し上げたい、ぜひともお願いしたいと思います。

 最後に、時間もありませんので、高速ネットワーク効果の高い路線の整備について大臣にお尋ねをしたいと思います。

 私は、今回の道路公団の廃止、民営化でネットワーク整備に不安が出ている代表例が中部横断自動車道だろうと思っているわけであります。この中部横断自動車道は、上信越自動車道、北関東自動車道と一体になりまして、東京から100キロないし150キロ圏を環状に連結する関東大環状連携軸を形成するものであります。完成しますと、関東地方全体の物流システム構築に役立つばかりでございません。東京、南関東を経由せずに関西と東北が直接に結ばれ、経済効果ははかり知れないものがあります。

 静岡県清水市から茨城県ひたちなか市を結ぶ関東大環状連携軸の全路線中、長野県佐久市から山梨県長坂までの間53キロ区間を除いてはすべて施行命令が出て現在工事中でありますが、このままでは、この53キロの整備計画、基本計画区間の整備がおくれ、全体の高速道路ネットワーク機能を損ないかねないおそれがあります。いまだ整備計画が策定されない区間でありましても、1万1520キロの予定路線の中には、ネットワークとなって一層の機能を発揮するものがございます。

 私は、このように高速ネットワーク効果の高い路線については、できれば一体として道路公団にかわる新たな組織で整備すべきものと考えておりますが、仮に整備主体が分かれるようなことになりましても、高速道路ネットワークとして手戻りなく同時期に供用開始ができるように、国が責任を持って整備することが必要だと考えております。

 そこで、扇国土交通大臣、こうした高速ネットワーク効果の高い路線に寄せます大臣の強い決意をお伺いしまして、質問を終えたいと思います。 

○大石政府参考人(国土交通省道路局長) 関東大環状連携軸とでもいうべき中部横断自動車道等の関東圏におけるネットワーク整備についてお尋ねでございます。

 関東の大ポテンシャルを支えるために、私たちは幾つもの環状道路を用意しようといたしておりますが、その中で、最も外側に位置する関東大環状とでもいうべき路線が、北関東自動車道と一体となって機能する中部横断自動車道であろうと考えてございます。

 先生御指摘ございましたように、環状道路はその一部が欠けても全体の機能が発揮できないということでございますので、全体として環状機能が発揮できるよう、この中部横断自動車道におきましても鋭意整備を進めていくことが必要だ、このように考えております。
○岩崎委員 高速ネットワーク効果の高い路線について、それが適時適切にきちっと整備されるよう、国の責任でそうされるように要望いたしまして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。