| 154回ー衆ー内閣委員会ー17号 2002/07/24 |
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○岩崎委員 おはようございます。自由民主党の岩崎忠夫でございます。参考人各位におかれましては、大変お忙しいところを早朝からお越しいただきまして、まことにありがとうございました。時間も余りありませんので、早速質問に入らせていただきます。 まず、参考人全員にお伺いしたいんですが、個人情報保護法制を整備する緊急性についての御認識をお伺いしたいと思うのであります。
近年、高度情報化社会の進展に伴いまして、個人情報がデータベース化され、そして企業の顧客情報が大量に流出したり、あるいは個人情報が不正に売買されるなどの事件が相次いで社会問題化しているわけであります。このようにIT化が進む一方で、個人情報を保護する法制の整備を急ぎますことは、国民のプライバシーを守る上からも必要不可欠のことだと思われるのであります。
この個人情報保護に関しましては、ほとんどの先進国で民間部門を含む保護法制が整備されているところであります。情報通信技術が進展する中で、民間部門を含んだ個人情報保護の仕組みを早急に整えますことは急務であると思われますが、民間部門を含んだ個人情報保護法制の整備の緊急性の基本的な認識について、時間がありませんので、各参考人にそれぞれ一言ずつお答えいただきたいと思います。
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○藤原(靜)参考人(國學院大學法学部教授) 岩崎議員の仰せのとおりだと存じます。国民の不安、誤解を除くためにも個人情報保護法制の整備をしていただきたい。これは焦眉の問題であると考えております。 |
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○大橋参考人(明星大学人文学部教授) 国の行政機関において個人情報保護法が制定されたときに、宿題が二つあったというふうに思っています。それは、民間部門の規制、それから紙の個人情報処理の問題、その二つの解決策として今、保護法案が上程されたというふうに思っております。 保護の空白の部分というものをなくしていくという趣旨、これが国民の個人情報に対する不安を解消していく手段であると思います。それから、先ほど申しましたように、国民の利便性あるいは省力化ということが期待される住基ネットを今後実施していくためにも、この個人情報保護法制が必要であるというふうに思っております。
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○櫻井参考人(ジャーナリスト) 私は、悪法であるならば、ない方がよろしいかと思っております。 個人情報を保護するための法整備はもちろん重要でありますけれども、今提出されている民間個人情報保護法案、行政個人情報保護法案はいずれも悪法であると思いますので、もし整備なさるのであるならば、もう一度法案を根本からつくり直していただきたいと存じます。
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○藤原(宏)参考人(日本弁護士連合会情報問題対策委員会幹事・コンピュータ研究委員会委員、弁護士) 個人情報保護法制の整備が緊急課題であることは十分に認識しております。 しかし、現在の行政機関の保有する個人情報保護法は、いわば行政機関個人情報利用法になっております。行政機関が自分たちで個人情報を利用し合えるだけ利用しましょうという発想でつくられておりまして、先ほどの名寄せを制限する、コントロールするという発想が全く欠落しておりますので、抜本的につくり直していただきたい。以上を願う次第でございます。
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○岩崎委員 各参考人とも、中には、法案の中身についてはいろいろな意見がある、場合によっては抜本的に見直すべきだ、こういう意見も入っておりましたが、個人情報保護のための法制整備を基本的に急ぐべきだ、そういう意見であるというように承った次第であります。 私がこのような質問をいたしましたのは、法案に反対する論調の中には、個人情報保護に対する認識が必ずしも十分でない、そのように見受けられる発言が一部に見られるからであります。また、法整備の緊急性に対しまして、私どもの国会審議が必ずしもこれに対応できていない、こういうことの自戒を込めて御質問をさせていただきました。
次に、基本原則のメディアへの適用について藤原靜雄参考人にお尋ねをいたします。
これまでの委員会での質疑や報道等によりまして、個人情報保護法案をめぐりますメディアに関する論点はかなり整理されてきたように思われますが、その中で大きな論点として残されているものに、基本原則をメディアにも及ぼすことの是非、そして基本原則の持つ意味合いは何かということがあると思うのであります。
私は、ともに憲法に由来します個人情報保護と表現の自由とがあたかも対立概念であるかのような言い方がされますのは大変に問題であって、個人情報保護と表現の自由とは基本的に両立し得るものだ、そういうように考えております。報道といえども、報道の自由とともに、取材されたり記事にされたりする方の人格権が尊重されるべきことは論をまちません。また、報道機関が自主規制に取り組んでいるからといって、基本原則は適用しなくてもいいんだ、そういうようなことは言えないのではないかと思うのであります。
問題は、法案の基本原則の法的性質について、誤解も含めてさまざまな理解がされ、これが議論を混乱させているかに思われることであります。ただいま藤原参考人から、基本原則の法的性質は、いわば各人による努力義務規定であるとの説明を受けました。そのような努力であれば報道機関においても日ごろ実践されていることだと思いますし、本法案は、そのことを基本的な理念あるいは考え方として明確にしたにすぎないことになります。また、ヨーロッパの個人情報保護法制と比較してみましても、むしろこの法案はメディアが規制対象にならないように、メディア保護に手厚い、メディアに配慮した緩やかな法制だとのお話を今伺った次第であります。
そこで、藤原靜雄参考人にお尋ねをいたします。法案の基本原則がそのような法的効果を持つにとどまるものであれば、あえてメディアを基本原則の適用除外とするまでの必要はないと思いますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いをしたいと思います。
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○藤原(靜)参考人 今の御質問の中にありましたように、また私が先ほど意見を述べさせていただきましたように、個人情報の適正な取り扱いに自主的に努力する、努力すべきということはメディアであっても当然のことでありますし、現にそのような取り組みも行われ始めたかのように承っております。ただ、諸外国と比べれば、その自主性、自主的取り組みというものはまだ十分とは言えないと思います。例えばドイツ等と比べても、苦情処理手続あるいは実効ある権利救済手続という意味で不十分なものであります。 しかしながら、自主規制の方向、自主的取り組みの方向に動き始めた。だとすれば、各人が置かれた状況に応じて自主的に努力すれば足りるというのがその基本原則であります。ですから、そのような基本原則からメディアだけを除外すべき積極的な理由は見出しがたいのではないかと考えております。仮に、表現の自由という観点からメディアのみを除外すれば、他の自由にかかわる分野についてはなぜ除外しないのであるかという議論が始まろうかと思います。
それから、先ほど櫻井参考人から御意見あったところですけれども、基本原則がメディアに及ぶといたしましても、行政による関与や罰則は予定されていない。また、これを根拠に直接に、先ほど申し上げましたように、開示請求権等が導かれるわけではございません。ただ、報道の自由、表現の自由が不当に妨げられないように、例えば四十条において配慮規定が置かれているわけであります。
また、先ほど櫻井参考人から御意見のありました不法行為等、早稲田大学の江沢民事件でございますけれども、あらわれるときに、裁判所の解釈原理になるとしても、報道などを含む個人情報の有用性に配慮するということを法目的、第一条に掲げているわけであります。法目的に掲げている以上、メディアが一方的に不利になる、そのような解釈が裁判所でなされるとは考えておりません。先ほどの御主張というのは、裁判官の手からも全く自由な権力をつくれと言っているものに等しい、そのように考えております。
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○岩崎委員 ありがとうございました。個人情報の適正な取り扱いに自主的に努力すべきことはメディアであっても当然のこと、基本原則からメディアだけを除外すべき合理的な理由は見出しがたいと、明快なお考えを承りました。 次に、民に厳しく官に甘いという批判があります。この問題について藤原靜雄参考人にお尋ねをいたします。
防衛庁の個人情報リスト作成問題を機ににわかに高まってまいりましたのが、法案は民に厳しく官に甘いのではないかという批判であります。その論拠とされますのは、行政機関個人情報保護法案には罰則規定がないではないかなどのようであります。私は、そうではない。
個人情報保護法案では、個人情報取扱事業者の自主性、自律性を尊重し、個人情報保護の観点から必要かつ最小限の規制にとどめているのに対し、行政機関個人情報保護法案においては、行政の公開性、透明性の観点を加味して、個人情報の取り扱いについてはより厳格に制度化されている、当然のごとく官に厳しいものになっていると受けとめているのであります。
そこで、藤原靜雄参考人にお尋ねします。今回の法案で、個人情報の保護の内容について、実際に民に厳しく官に甘いようなものとなっているのでしょうか、お伺いをしたいと思います。端的にお答えいただきたいと思います。
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○藤原(靜)参考人 結論から申し上げれば、そのようなことは決してないと思います。 時間の関係もありますので、ごく簡単に申し上げます。
第一に、両法制の規律の内容ですが、先ほど申し上げたように、民は入り口と出口は、特に出口は厳しくしてあります。ただ、規律の中身は、自主規制をベースに緩やかなものになっております。これに対して、官は規律の中身そのものを詳細かつ広範に規律しているということで、その意味で官が厳しい。
それから、近時論議になっております罰則規定の有無ですけれども、民間部門は、確かに罰則規定がございますけれども、個人情報の漏えいにつきまして、悪質な事業者の行為で、例えば主務大臣の命令にも従わない、そういった場合に初めてその命令違反に対して罰則が科せられるという仕組みであります。つまり、勧告を出して、それでもだめなら命令が出る、その後初めて罰則が来るという間接罰であります。一方、行政機関の場合は、これは直罰なわけです。直ちに罰則が来る。また、仕組みそのものも違いますが、罰則の点でも甘いことは決してないのではないか、そのように考えます。
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○岩崎委員 法案の内容は民に厳しく官に甘いというような批判は全く当たらないとの説明であるということだと承りました。 次に、住基ネットの施行についての質問をいたします。大橋有弘参考人にお伺いをいたします。
住民基本台帳ネットワークシステムは、地方公共団体共同のシステムとしてこの八月五日から稼働することになります。全地方公共団体では、稼働に向けてこれまで多額の予算計上を行い、データ整備や住民への広報活動など着実な準備を積み重ねてまいりました。また、住基ネットは、e―Japan重点計画に基づく電子政府、電子自治体構築のためにも重要な基盤となるものであります。これが仮に施行延期となれば、地方公共団体、住民双方に大きな混乱が生じるばかりか、政府が目指す平成十五年度までの電子政府、電子自治体の実現にとって大きな支障となるものであって、そのようなことはあってはならないことであります。
大橋有弘参考人はこれまで住基ネットのシステムの構築にかかわってきたとのことでありますが、住基ネットのシステム構築に当たりましては、予想されるさまざまな問題を想定して、安全な上にも安全なシステムとなるよう、二重三重にセキュリティー措置を講じていると伺っているところであります。
そこで、大橋有弘参考人にお伺いをします。他の参考人からの反対意見をお聞きになっての御感想をお伺いしたいと思いますし、とりわけ住基ネットについて、情報漏えいなどのセキュリティーや個人情報の一元化などのプライバシーなどについてこれを問題にする声があるわけでありますが、この点についてのお考えもお伺いしたいと思います。
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○大橋参考人 今お尋ねの件に関して、まず私なりの感想を申し上げたいと思いますけれども、住基ネットワークに関してはかなり大きな誤解があるのではないか、あるいはこれは行政側がきちんと説明をうまくし切れていないという反省があろうかとも思いますけれども、誤解があるというふうに私は思っております。 システムの中身、そして制度ということに絡むものですから、なかなか理解しにくい面、そしてそれが国民の方からの理解がなかなか得られないという状況があろうかと思いますけれども、一方では、プライバシーが危ない、番号で管理する、牛は十けただけれども人間は十一けた、こういうレベルの議論ではなかなか国民の理解は得られないというふうに私は思っております。行政側はもっとこの問題について根本的な理解を求めるような努力をすべきでありますし、国民はこの問題そのものの反対をしているわけではないというふうに私は思っております。
それから、国と自治体との関係ですけれども、この住基ネットはもともと、先ほど申しましたように、自治体の事務、住民基本台帳事務をつかさどっている市町村の仕事であります。それを市町村の中だけではなくネットワークで便利にする、効率化を図る、そして県、国はその結果として、自分の仕事に、別途集めている情報をそこから提供を受ける、恩恵にあずかる立場にあるというふうに思っています。
そして、先ほど来、少し誤解なのか、あるいは内容を御存じないで、あるいはあえて誤解なのか、私はよくわかりませんけれども、名寄せの問題が出ております。
名寄せというのは、それ自体が悪ではないんです。今の行政の事務の中で名寄せができないことには、我々は十分な個人のサービスを受けられないことになります。子供がしかるべき年齢になれば、義務教育、学校の就学の案内が来ます。選挙権も、しかるべき年齢に達したときにそれが案内される、通知される。あるいは、卑近な例で申しますと、私なども、役人をやっていた時代、それから大学へ行った時代の稼いだ、あるいは払った年金保険料、最終的には、しかるべき年齢に達したときにすべての保険料を名寄せして、そして適正な年金をいただくわけです。そういう意味で、名寄せというのは、それ自体が悪というのは全く誤解に満ちたものです。
そして、その名寄せは、限られた範囲内でしか行っていけない、できない、それも当然のことであります。やたらに個人情報を集めて名寄せして、それを見て監視している人がどこにあるんでしょうか。どういう役所がその仕事をしているでしょうか。行政の制度、仕組みを少しでも御理解いただくならば、役所は権限に基づいた範囲内でしか個人情報を利用できないということになっております。それが大前提として御理解いただきたいと思います。行政が悪である、役人は悪であるという大前提では、私たちは、国民と行政の関係は成り立っていないというふうに思います。
それから、セキュリティーに関してでございますけれども、一つの例を挙げて申し上げれば、通信回線は専用であります。そこに防火壁もある。そこを無理してこじあけて入ってきて得た情報は暗号化されております。この暗号化の技術は今このところ相当進んでおりまして、例えばこの暗号を解読するのに、一台数億円するスーパーコンピューターを何十台も並べて、何十年間そのコンピューターを回せば解けるかもしれない。でも、その間に、既に漏えいしたことはすぐ検知されておりますから、修正すればいいんです。つくり直せばいい。暗号コードは振り直せばいいんです。とても、何十年をかけて暗号解いている人なんかいないと思います。それで解いて得た情報は大した中身ではないんです。
そういうことで、セキュリティーに関しても、やや誤解に満ちた議論がされているように思います。
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○岩崎委員 住基法上、システム運用上も、個人情報保護措置は十分に講じられている、こういう御意見でございました。 私は、住基ネットワークシステムには非常に大きな誤解がある。国民総背番号制であり、国家機関があらゆる個人情報を住民票コードによって一元管理するシステムでないかというような大変壮大な誤解があるわけですが、これは全くあり得ない。住基のネットの基本的な点を全く理解しない意見だろうと思っているわけであります。
住基ネットが保有するのは、本人の居住関係を公証する氏名、住所、性別、生年月日、この四情報だけであります。そして、法律に定める特定された行政機関と行政事務のためにだけこれが本人チェックのために提供されるのでありまして、提供を受けました行政機関は、その目的のためにだけ使う、目的外利用は一切禁止されている。そして、目的外利用したのにかかわった者は刑罰が加重された重大な守秘義務がかかっているわけでありますし、一切の名寄せや行政機関相互の照合にこの住基番号を使ってはいけないというように、明確に禁止規定をされているわけであります。
論者が言うように、住民票コードを検索キーとしていかなる情報機関の個人情報データベースも検索することができるんじゃないかということは、これは一切できない、法的な禁止措置がされているわけでありまして、この点についての誤解が一切ないように。それに増して、やはり行政当局が住基ネットの説明あるいは個人情報保護法案等の説明が十分できていないことがこのような誤解を招いている。
そのことを私は非常に残念に思いまして、行政当局がもう少ししっかり国民にPRをしていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終えたいと思います。
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