151回-衆-内閣委員会-17号 2001/06/13

○岩崎委員 自由民主党の岩崎忠夫でございます。法案の質疑に入ります前に、大阪教育大附属池田小学校多数児童殺傷事件につきまして、亡くなられた児童の御冥福をお祈りし、また、被害者及び被害者の御家族に対し心からお見舞いを申し上げますとともに、あわせて、この事件に関しどのように警察庁長官が受けとめられているのかをお伺いしたいと思います。

 事件は、児童にとって最も安全であるべき授業中の教室で、白昼、目を覆うような地獄図絵が展開されたのであります。今回の容疑者は、過去にたびたび事件を起こし、そのうち異物混入事件では刑事責任能力がないとして措置入院とされ、短期の入院を経て退院し、犯行に及んだと伝えられております。事は、犯罪を起こした精神障害者の処遇いかんが問われる事件であります。犯罪防止と精神障害者の人権という微妙な問題に絡みますとはいえ、近年我が国の安全神話が次々と崩れているさなかに起きた事件であります。

 私は、日本を、何の罪もないいたいけな児童が不安を感じ、かつその安全が守られないような国にしてはならない、そのように思います。一握りの異常者から社会を防衛する必要性は、近年急速に高まっていると考えられます。安全な社会を守るため、刑事政策も転換を迫られていると思いますが、警察庁長官に、こうした痛ましい事件が二度と起きないよう、再発防止策など、今回の事件をどのように受けとめておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。

○田中政府参考人 お答えいたします。
 今回の事件は、白昼の小学校におきましてとうとい命が多数奪われるというまことに痛ましい事件でありまして、被害者や御家族の無念とお悲しみを思いますと、犯人に対する強い憤りを禁じ得ないところでございます。改めて、亡くなられました方々の御冥福と、けがをされた方々の一日も早い回復を心からお祈りいたしておるところでございます。

 この種の事件は国民に大きな不安感を与えるものでございますので、事件の全容解明のため、現在、大阪府警察におきまして、徹底した捜査を行いますとともに、女性職員三十八名を含みます五十六名体制の特別被害者支援班を設置いたしまして、心身に傷を負った方々への被害者対策に真剣に取り組んでいるというふうに承知をしておるところでございます。

 警察におきましては、この種の事案の発生の防止を図るため、警ら、警戒活動の強化、関係機関、団体との緊密な連携などの諸対策に万全を期しているところでございます。

 また、委員からお尋ねのございました、重大な犯罪行為をした精神障害者、いわゆる触法精神障害者の処遇の問題でございますけれども、この処遇決定及び処遇システムのあり方につきまして、本年一月以降、法務省及び厚生労働省で、これまでに治療関係者、法律家等の意見を聞きながら議論、検討が進められているというふうに承知をしております。

 この触法精神障害者の処遇のあり方につきましては、両省庁間でさらに議論が進められていくものと承知をしておりますけれども、国民の生命、身体の安全確保を任務といたします警察、あるいは現場で一番犯罪に近いところにある警察といたしましては、その議論を見守りながら、要請があれば資料提供などの必要な協力を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。

○岩崎委員 ありがとうございました。
 触法精神障害者についての御検討を既に始めておられるということでございます。今回の容疑者というのは、過去にたびたび事件を起こした人物であります。ということは、制度及び運用が適切であれば、事前に十分な措置がとられていたならば、今回の事件は十分に防げた事件であります。突然の不幸に見舞われました被害者の無念を思いますとき、また国民一般の不安を思いますとき、今回有効な対応策が講じられず、また同様な事件が起きるようなことのないよう、医療関係者含め司法当局が、一歩前に出た、新たな、実効性のある制度的な枠組みの対応がとられるよう、さらに早急な検討を望みたいと思います。

 続きまして、法案の方の質疑に入りたいと思いますが、まず、児童買春の温床としてのテレクラの実情についてお伺いをいたします。

 いわゆるテレホンクラブは、ツーショットダイヤル等の新たな形態のテレクラの出現も相まちまして近年急増しつつあり、今や放置できない状況にあります。とりわけ女性は、フリーダイヤルで機械による自動接続となっていることが多いため、好奇心も手伝って、安易な利用に陥りやすい状況がつくられているのでございます。

 平成十一年の児童買春、児童ポルノ処罰法の制定、あるいは昨年五月の児童の買春等に係る議定書の採択、あるいは本年十二月の児童の商業的性的搾取に反対する世界会議の横浜開催など、児童買春の撲滅に向けた国内外の議論も高まっているところであります。

 テレホンクラブ営業は、児童買春の温床として、女子少年の利用防止のための一日も早い法規制が求められていることは言をまちませんが、ちなみに、こうしたテレクラあるいはテレクラ類似の営業は、韓国、台湾を除いては諸外国に全く例を見ないと聞いております。

 今回の風営法改正は、児童、少年の保護の見地からも時宜を得たものと思われますが、まず初めに、今回の法規制に至った児童買春の温床としてのテレクラの実情についてどのように認識しているのか、簡潔にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○黒澤政府参考人 委員御指摘のとおり、平成十二年中の児童買春事件のうち、テレホンクラブ利用にかかわるものが約五割を占めておりまして、女子少年を被害者とする児童買春の温床となっていることが認められるわけでございます。

 その理由でございますけれども、やはりテレホンクラブ営業におきましては、女性がフリーダイヤルにより無料で利用できるシステムとなっておりまして、機械により自動的に男性客に接続しておることが通常でございますので、利用することに対する抵抗感や羞恥心を生じさせにくい仕組みとなっていることが考えられます。

 特に近年は、一部の女子青少年の間で、遊ぶ金欲しさ目的で援助交際その他の性の逸脱行為が安易になされる風潮の中、中高生を含む携帯電話の急速な普及等も手伝いまして、簡便で匿名性を維持できるテレホンクラブの利用が流行し、低年齢層まで浸透してきている、こういったことが挙げられるかと思います。

○岩崎委員 どうもありがとうございました。
 次に、条例規制では不十分として、法律による規制が必要とされた点についてお伺いをしたいと思います。

 テレホンクラブにつきましては、平成七年に岐阜県で条例制定が行われましたのを皮切りに、現在すべての都道府県で条例規制が行われているわけであります。最近急増している無店舗型の営業の規制については、まだこれらの条例では十分に対応できていないということもありますし、また、年少者の利用禁止を担保するための年齢確認を求めている条例はないということであります。今回、各都道府県による条例規制では十分でないとしまして、法律による規制に踏み切られたわけでありますが、条例規制では対応できない点について明らかにしていただきたいと思います。

○黒澤政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、青少年に利用させること自体を禁止しているものは東京、京都の二条例にとどまっておりますほか、利用者の年齢確認を義務づけているものは皆無であるなど、女子児童の利用を防止する観点からの規制としては実効性に乏しいと考えられる状況にございます。一方、児童買春は、被害者となった児童に精神、肉体の両面におきまして甚大なダメージを与える重大かつ悪質な犯罪でございまして、児童買春の撲滅に向けた国内外の議論が近時一層の高まりを見せていることを踏まえれば、児童買春の温床となっておりますテレホンクラブにつきましては、児童の尊厳の保護を図るという観点から、国として法律による規制を行うことが適切であります。また、特に無店舗型営業でございますけれども、複数の都道府県にまたがって営業を展開するわけでございまして、地域的な効力しか持たない条例による規制の限界が生じているということができるわけでございます。

 そこで、女子児童を被害者とする児童買春の防止の観点から、利用者が十八歳以上であることの確認措置の義務づけなどを内容とする法律による実効ある規制を期して今回の法改正を行おうとしたものでございます。

○岩崎委員 どうもありがとうございました。
 そこで、十八歳以上であることの年齢確認措置の実効性について、次に伺いたいと思います。

 今回の法改正の核心は、テレホンクラブを届け出制とし、利用者が十八歳以上であることの確認を義務づけたことであろうかと思われます。テレホンクラブが児童買春の温床となりますのは、女性からの電話が年齢を問わず機械により自動的に接続されるという、そのシステムにあると言われます。

 今回、テレホンクラブは、客が十八歳以上であることを確認した後でなければ通話の機会を提供してはならないこととされたわけでありますが、問題は、利用者が十八歳以上であることの確認方法であります。十八歳以上であることを確認するための措置は国家公安委員会規則で定めることとしておりますが、実際問題として、しり抜けにならない実効性ある確認方法が規定できるかどうか、懸念が少なからず残るところであります。とりわけ、プライバシーとか個人情報の漏えい防止にも配慮するなどいたしまして、結果として確認措置が実効性を持たなくなるようなことがあってはならないと思います。

 そのあたりの兼ね合いをどのように考え、実効性ある確認方法をどうとらせるのか、お伺いをしたいと思います。

○黒澤政府参考人 まず、利用者が十八歳以上であることの実効性ある確認方法でございますが、具体的には、先ほど来申し上げておりますように、運転免許証等の身分証明書の書類の写しをファクシミリにより受信する方法、十八歳未満の者が通常利用できない方法により料金を支払うという同意を受ける方法、例えばクレジットカード等でございますが、それからもう一つ、先ほど来申し上げております、ID、パスワードを付与しまして、そのID、パスワードの伝達を伴う電話だけを取り次ぐ方法、こういった方法を考えておるところでございます。

 そしてまた、これまた申し上げてきたところでございますけれども、こういった仕組みができることによりまして、興味本位でテレクラを利用する女子少年に対する相当程度の抑止効果が期待できるかと思いますし、また、テレクラ業者が確認措置を講じているのかどうかを把握することは、日常の警察活動等を通じることにより比較的容易でございまして、義務を果たしていない業者に対しましては、まず指示をいたしまして、そしてまた営業停止命令等の行政処分を行うことにより、機動的かつ実効的に営業方法の是正を促すことが可能であると考えておりまして、こういったことが相まちまして効果が期待できるものと考えております。

 それから、プライバシーの保護につきましても、十分な配慮をして運用してまいりたいと考えておるところでございます。

○岩崎委員 ありがとうございました。
 続きまして、テレクラの広告宣伝規制の実効性についてお伺いをしたいと思います。
 テレクラの広告宣伝は、今や町じゅうにあふれております。電話ボックス等には刺激的なテレクラのチラシ、ビラがはんらんし、街頭では電話番号入りのティッシュペーパーがだれ構わず配られております。テレクラ営業は、電話番号がわかればどこからでも利用することができるという特質を持っております。したがって、テレクラの電話番号が少年の目に触れないようにするため、テレクラの広告宣伝方法や場所を効果的に規制することが何より肝要であります。

 今回の改正では、こうした広告宣伝の規制として一定の規定がされましたが、こう
した規制は、現行の各都道府県条例でも規定されていることであります。今回の法改正によって本当にテレクラの電話番号が少年の目に触れることのないような実効ある広告宣伝の規制ができるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

○黒澤政府参考人 今回の法改正によりましてテレクラの広告宣伝につきまして規制をかけることとなるわけでございますけれども、これらの規制の違反行為に対しましては、直接罰則を適用していくのではなくて、公安委員会による営業者に対する指示処分により対応することといたしておりまして、この指示処分によりまして、時期を逸することなく、速やかに営業の是正を図ることが可能となるわけでございます。

 また、この指示に従わない場合には、公安委員会は営業の停止等を命じることができるわけでございまして、この営業停止命令というのは、営業者にとりましては、一定期間収入の道を閉ざされるという相当重い処分でございます。また、この命令に従わない場合には、刑事罰の対象となるわけでございます。さらに、無店舗型のテレホンクラブにつきましては、広告宣伝規制の違反行為に対する指示処分を行うべき営業者の所在がわからない事態が生じ得るため、一定の場合には、警察職員みずから当該違反広告物を除却することができることといたしております。

 こういった措置の的確な運用によりまして、テレホンクラブ営業者の広告宣伝に対しまして対処が可能であると考えておるところでございます。

○岩崎委員 いわゆる出会い系サイトの規制について、次にお伺いをいたします。
 平成十二年度の児童買春事件検挙件数のうち、五二%、四百六十九件がテレホンクラブ利用によるものとなっております。一方、三十九件が出会い系サイト利用によるものということで、今日の段階では、出会い系サイトによる児童買春事件の件数はまだ多くないようでありますが、最近、インターネット上の出会い系サイトで知り合った男女間で、児童買春、強姦、殺人事件まで発展する事件が目立っているように見受けられます。携帯電話のiモードには、日々大量の出会い情報があふれております。こうして、刺激的な情報が日々児童の耳目をそばだたせております。

 出会い系サイトは、不特定多数の男女を仲介する点でテレホンクラブと同様であり、テレホンクラブへの規制強化とも相まって出会い系サイトが児童買春の温床となるのも、今や時間の問題だと考えられます。iモードでの出会い系サイトの既に目に余るはんらんを見ますとき、一日規制がおくれれば、それだけ児童買春の被害者がふえることになります。出会い系サイトに対する早急な法規制が必要と考えられますが、警察庁長官のお考えを伺いたいと思います。

○田中政府参考人 インターネットの爆発的な普及に伴いましていろいろな問題が発生していると本当に認識をしております。特に最近では、御指摘のように、インターネット上で異性間の出会いの場を提供するいわゆる出会い系サイトに関連いたしまして、児童買春等の風俗事犯のみならず、殺人、強姦等の凶悪犯罪も発生しているところでございます。また、御指摘のとおり、出会い系サイトの形態は、今回法改正により規制をお願いしておりますテレホンクラブに近い形態のものもございまして、将来、児童買春の温床となるということも十分にあり得るというふうに考えておるところでございます。

 このような情勢を受けまして、私どもは、インターネットを利用した犯罪につきまして、今後とも取り締まりを強化していくとともに、犯罪防止のための広報啓発活動なども推進していきたい、かように考えておりますが、出会い系サイトにつきましても、このような問題点を指摘いたしまして、広報啓発活動を一層推進してまいりたいというふうに思っております。

 あわせて、法規制のお話がございました。出会い系サイトに関係いたします児童買春の状況につきまして、その実態の把握に努めながら、また御意見を踏まえながら、必要な対策について検討を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。

○岩崎委員 ありがとうございました。
 今回の風営法改正によるテレクラ規制は、社会的な要請でもあり、時宜を得たものと言えます。問題は、テレクラ利用者が十八歳以上であることの確認措置の実効性、また、テレクラの電話番号が少年の目に触れることのないようにするための広告宣伝規制の実効性いかんにあります。

 最後に、今回のテレクラ規制の実効性についての警察庁長官の決意をお伺いいたしまして、質問を終えたいと思います。

○田中政府参考人 今回お願いしております法改正によりまして、テレホンクラブ営業者に対し、利用者が十八歳以上であることを確認するための措置を講じることが義務づけられることとなりますけれども、これは女子児童のテレホンクラブ利用の防止に大変効果を発揮するものというふうに考えております。

 また、地域限定的な効力しか持たない条例にかわりまして、全国的な効力を持つ法律により規制を行う、さらに、無店舗型の営業者の法令等違反行為に対しまして営業禁止を命ずることができる旨を規定することによりまして、従来に比較してより効果的な指導取り締まりが行えるものというふうに考えておるところでございます。

 今後、今回の法改正の趣旨を全国警察に徹底いたしまして、その的確な運用により所期の効果を上げるよう努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○岩崎委員 どうもありがとうございました。以上で質問を終わります。