| 150回-衆-政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 08号 2000/11/07 |
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○岩崎委員 自由民主党の岩崎忠夫でございます。
早速でございますが、質問に入らせていただきます。
さて、本国会には、いわゆるあっせん利得の課題について与党、野党の二つの法律案が提案されているのでございますが、これまでの審議で明らかになりましたのは、与党のあっせん利得法案の、政治倫理法制として一歩前に出た世界にも類例を見ない先進的な法制の姿であり、一方、野党案の、政治活動の自由という、民主主義の重要な価値であり、かつ憲法上の権利に対する驚くほどむとんちゃくかつ冷淡な態度であります。
以下、その点を明らかにしつつ、参考人から御意見を伺ってまいりたいと思います。 今回、与党三党は、最近の一連の不祥事に端を発する深刻な政治不信を重大に受けとめ、いわゆるあっせん利得の課題について真摯な議論を積み重ね、国民の政治への信頼を回復させるため、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案を提案いたしました。 この法律案の最も特筆すべきことは、第一に、公職にある者の政治活動の廉潔性及びこれに対する国民の信頼を保護法益とした法律構成でございまして、これにより、公職にある者の行為に罰則で担保される一定の枠をはめたことでございます。 第二に、この法律案の罪が対象とするあっせん行為は、公務員の職務上の不正な行為に限らず、広く公務員に適正な職務行為をさせるもの一般を対象としていることであります。 そこで、浜田、板倉両参考人にお伺いしたいと思いますが、選挙で選ばれて公職にある者が公務員に正当な職務上の行為をさせるようあっせんして処罰されるような立法例が諸外国にありますでしょうか、まずお伺いしたいと思います。 私が調べましたところ、我が国に比べ国民の議員に対する働きかけに相当に激しいものがあるアメリカにおいて、合衆国法典や政府倫理法にもこのような規定は見当たりません。また、フランスの刑法にあっせん利得類似行為を禁止する条項があるというので調べましたところ、影響力の乱用で処罰される例はあるようでございますが、単なるあっせんで処罰されるような立法例はないようでございますが、どうでございましょうか、お伺いしたいと思います。 |
○浜田参考人(弁護士) 世界の立法例につきまして、私自身つぶさに全部調べたわけではございませんが、私の知る限りでは、そのような立法例はない、そう考えております。 |
○板倉参考人(日本大学法学部教授) 世界の立法例でありますが、あっせん自体では処罰されないわけです。今回の野党案でも、口きき自体で処罰されるわけではなく、口ききの見返りに利益を得ている、そういうものはアメリカなんかでも私の解釈によりますと腐敗行為として処罰されるというふうに考えております。 |
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○岩崎委員 腐敗行為というのは、贈収賄罪の一つの類型としてとらえておることと思いますけれども、諸外国に現在、いわゆるあっせん利得をめぐり今回審議されているような立法例はないということで理解いたしたいと思います。 国民の間に政治不信が高まっているとはいえ、与党三党は、真剣に議論をしました結果、政治倫理の確立のため、世界に類例のない、厳しく自戒する先進的な法律案を取りまとめられたわけで、与党三党の提案者の御見識には改めて敬意を表したいと思います。 そこで、公職者あっせん利得罪は、世界にも類例を見ない高い政治倫理を求める先進的な法制であること、また、正当な職務行為をあっせんしても処罰されるということから、それだけに構成要件や対象行為は明確かつ厳密に定めることが必要ではないかと考えるのでございますが、その点、浜田参考人に、どのように考えたらよろしいか、御教示願いたいと思います。 |
○浜田参考人 まず、政治的公務員の政治的倫理そのものの高揚という基本的な問題について、みずからが考えていくのが一番必要であろう。それを何らかの法律によって制約するということになるのであれば、やはりその政治活動の自由を制限する、そういうことを最小限に食いとめる必要があろう。この二点を中心に、いろいろな方策を考えていくべきであろうと考えております。 |
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○岩崎委員 政治倫理法制をつくる場合に当たりましても、政治活動を不当に阻害しないように、十分慎重に、明確に、最低限の形で定めるべきだ、こういうような御意見を賜ったわけであります。 それでは次に、与党案、野党案につきまして、憲法上の権利でもありますそうした政治活動の自由との調和が十分に図られているかどうか、お伺いしたいと思います。 言うまでもなく、公職にある者は、国民の要望を受けて、公務員に働きかけて政治活動を行うことが多いのでございます。国民の声を政府や政策に反映させるため公務員に働きかけることは、政治家の本来的な政治活動の一環であります。行政が国民のニーズと要望に沿ったものとなるよう働きかけることは、重要な政治の役割でもあります。それを口ききなどといって矮小化するようなことがあってはなりません。 政治不信の一因に国民の声が政治、行政に正しく反映されていないのではないかということがあると言われますとき、私は、今回の立法によって、こうした民意の反映、そのための必要な政治活動が制限されるようなことがあってはならないと考えております。 昭和三十三年のあっせん収賄罪の制定に当たりましても、こうした点が危惧されまして、あっせん収賄罪の実施に当たっては、政府は、検察権、警察権の乱用を厳に戒め、政治活動を阻害することのないよう留意すべしという附帯決議が付されているところでもあります。 与党案は、このような点に配意しまして、あっせん行為による利得の禁止と政治活動の自由とのバランスを考慮し、構成要件を明確に定めますとともに、本法律案の適用に当たっては、政治活動を不当に妨げることのないよう運用に留意しなければならないとの規定を設けまして、政治活動の自由との調和を図っているのでございます。 一方、野党案におきましては、処罰規定があいまいなために、検察、警察の裁量によって処罰の対象になるか否かが決まり、検察権、警察権の乱用につながるおそれなしとしないのであります。そのため、野党案のままでは、正常な政治活動が萎縮、阻害ないしは制限されるのではないかと懸念されるのであります。 具体的に、幾つか政治活動の自由との関係で野党案で問題となる点を挙げたいと思いますが、次に述べます諸点につきまして、浜田、板倉両参考人のお考えを伺いたいと思います。 第一に、野党案において、特定の者に利益を得させる目的を要件としておりますが、特定とはいかなる広がりまでを指すのか、特定の者の概念があいまいで、検察、警察の裁量いかんによって処罰の対象になるか否かが決まることになりはしないか、政治活動の自由の観点から甚だ心配になるものでありますが、この点、浜田、板倉両参考人のお考え、先ほど意見陳述の中でお伺いいたしましたが、さらに改めて政治活動の自由との関係でこの点についてまずお伺いしたいと思います。 |
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○浜田参考人 まず、特定の者という概念ですが、一般的に言えば、個人、法人を問わない、単数でも複数でもいい、したがって、諸団体、これも、あるいはそれが一つではなくても、二つの諸団体でも、特定できれば特定の者、こういうふうに一般的には考えられます。 したがって、宗教法人も労働組合もこういう中には入ってくるわけですね。そういう者のためにというものが入りますと、やはり解釈によってこれは特定と言える、特定と言えないという概念というのは、非常にあいまいになってくるんじゃなかろうかと思います。 今、どれが特定できてどれが特定できないとここで決めるのではなくて、実際に起こった問題のときに、そのときの解釈によって差が出てくるんじゃなかろうか。やった人は特定とは思わなかったといっても、いや、これは特定だと司法が決めつければそれは特定になるわけでございまして、そういう意味で、できるだけあいまいな概念を排除していただきたいということは先ほど私も申し上げたわけでございます。 |
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○板倉参考人 刑罰法規というのは、余りあいまいなものであってはいけないわけです。非常にあいまいで何が処罰されるかわからないような刑罰法規をつくるということになりますと、罪刑法定主義を定めた憲法にも違反することになりますが、今回の与党案はもちろん野党案でも、そのような意味であいまいであるとは到底思えません。 特定の者、これは個人、業者、団体、そういったものをいうわけですが、特定の者という概念をさらに解釈等で詰めなければいけない面があるかもしれませんが、刑罰法規の構成要件として特定の者という表現はしても、罪刑法定主義に反するとか、あるいは政治的自由を侵害するということにはならないと私は思っております。 |
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○岩崎委員 まず第一点についてただいまお伺いしたところでございますが、政治活動の自由との関係で以下質問を続けてまいります。 第二に、あっせんは請託を受けてなされるのが通常の形態でございますが、野党案において、請託の要件がありませんと、例えば特別な依頼を受けることなく、国民の声を吸い上げて通常の政治活動として働きかけを行うような正当な政治活動までも制限することになりはしないか懸念するものであります。 また、第三に、行政計画や予算等に民意を反映させますことは、政治活動として公職にある者に期待されているところでございます。したがいまして、あっせん対象者の行為を限定しなければ、野党案ではあっせん対象者の行為を限定しておりませんが、予算要望などの正当な政治活動を萎縮させ、本来の政治活動が制限されることになるのではないか懸念するものであります。 第四に、野党案の保護法益をどのように考えたらよいかということであります。 わいろという言葉は、一般に職務の公正性に係っている言葉でございまして、あっせんすること自体公正でないと思われてしまい、民意の吸収、反映機能を阻害し、政治活動の自由を阻害するようなことはないでありましょうか。 第五に、野党案の第三者供与の規定でございますが、公職にある者の支配を超えた利益まで当該公職にある者の収受と同一視されるならば、当該公職にある者とはかかわりが希薄な第三者に供与されるもの、例えば育英資金にするとか社会福祉に寄附するとか、そういったものまで罪に問われることになりまして、正当な政治活動を不当に妨げることにならないかどうか危惧するものであります。 以上、野党案は幾つかの点で政治活動の自由を阻害させる懸念がありまして、現代民主政治に最も必要とされる民意の吸収、民意の行政への反映、あるいはそのための政治活動の自由が重大な制約を受けるおそれはないかと危惧されるところでございます。 野党案の政治活動の自由の観点からする問題点について、どのように考えたらよいか、浜田、板倉両参考人にお伺いをしたいと思います。 |
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○浜田参考人 最初の私の意見陳述の中でも申し上げましたけれども、やはり野党案においてはあらゆる公務員の職務行為が対象となる。他方、国会議員を初めとする政治公務員の活動としては、政策立案、そういう諸政策全般にわたっての活動が求められてくるわけでございます。 いわゆる地元からの陳情、それを取り次ぐ政治、これだけをもってよしとするのではなくて、我が国の将来を考えて、例えば我が国の現在の宇宙開発がほかの国に比べておくれているとかいうことで、そこに一生懸命力点を置いて、政策をつくって、そして関係省庁と調整し、また民間の業者ともいろいろとやり合って、我が国の宇宙開発のために尽力しようとする政治公務員の方がもしいたときに、それが何らかの形で、請託もなくて、自分で一生懸命にそのためにやったことがその宇宙開発に関する会社の利益のためにやったというふうに見られた場合、一体どうなるかというような問題が出てくるわけですね。明確な請託が何もない。 そういうふうに、何か自分で一生懸命やっているのに、それが結果としてこのような法律の罪に問われる、そこを、私、今一番懸念するわけです。具体的な請託があれば、これは金をもらっちゃならぬというのは当然でございまして、そういうことに対して動くことを処罰するならともかく、自分で一生懸命やったことを、何かの目的があったと。特定の者が結果的にどういうものになるかということがございますので、その辺も含めまして、できるだけ厳格な規定を望みたい、こういうふうに思っております。 |
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○板倉参考人 刑法のわいろ罪でも、これは職務に関しているからということもありますが、正当なことをしても、その見返りにわいろを取っていればもちろん収賄罪になるわけです。違法なことをすれば、加重収賄罪ということで、より重く処罰されるということになるわけです。 政治的自由といいましても、民意を反映して口ききをするということは、これはそうすべきところも多々あろうかと思います。しかし、その見返りに利益を得なければいいわけなんであって、利益を得るということがまさに問題であるわけですね。見返りに利益を得るということ自体、これはいけないことでありまして、それが処罰されるから政治的自由が侵害されるというのは、非常におかしいことだと私としては思っております。 |
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○岩崎委員 私は、あいまいな規定の仕方、あるいは包括的な規定の仕方で政治活動が不当に妨げられることになるのではないか、そういう点を問題にしているわけであります。正当な行為でも処罰しようとするわけでありますから、適用条件は厳格に定めることが最低限必要だと思っています。 私は、さまざまな国民の声、要望を積極的に政治、行政に反映させる努力をしていくことこそが、民主政治の今の状況から見て、最も求められているものと考えております。そのため、今回の立法措置によって正常な政治活動が萎縮、制限されるようなことがあってはならない。また、政治資金の拠出も、拠出する側にとって一つの政治参加の手段でございまして、今回の立法措置によって拠出をちゅうちょし、憶するようなことがあってはならないと考えております。 民主主義社会におきましては、政治活動の自由は何よりも大切なものであります。そうした意味からも、野党案の何でも刑罰で物事を処そうという態度、捕まえさえすればよいという態度は、政治活動の自由、ひいては民主政治に対する正しい理解に欠けていると言わざるを得ません。 それだけに、角を矯めて牛、この場合は民主主義でありますが、牛を殺すことのないよう、野党の皆さんの御理解を願いまして、質問を終わりたいと思います。 |